週刊「川柳時評」

2025年5月10日土曜日

三田三郎『よいこのための二日酔い入門』

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酒にまつわるエッセイは数多く書かれていて、吉田健一や開高健、内田百閒、池波正太郎、安藤鶴夫など限りがないが、旅先での美味しいものや銘酒の話など、酒肴とからめた食と酒の話が多かった。今回の三田三郎のエッセイは純粋に酒を飲むことそのものがテーマであり、食べ物の話は出てこない。飲酒とい...
2025年5月6日火曜日

西田雅子句集『そらいろの空』

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『そらいろの空』(ふらんす堂)は西田雅子の第二句集である。第一句集『ペルソナの塔』(あざみエージェント)は写真とコラボしたミニ句集で、句数も少なかったのに対して、今度の句集は西田の句業を堪能できる本格的なものになっている。 『そらいろの空』というタイトルがこの句集の世界を端的に表...
2025年4月11日金曜日

雨月茄子春句集『おともだちパンチ』

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3月15日に高槻市で開催された「第四回らくだ忌」に雨月茄子春が来ていて、句集『おともだちパンチ』を入手した。表紙絵では女の子二人が台所に立っていて、ひとりはこちらを見ている。イラストは、かわいみな。湊圭伍の解説が付いている。 以前、中崎町のラーメン屋で会ったときに句集を出すという...
2025年4月4日金曜日

林やはと柴田千晶

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「川柳スパイラル」23号が発行された。 新同人のエッセイ、林やは「あなたと」と猫田千恵子「流されるままに」が掲載されている。林やはについては清水かおりが「同人作品評」でこんなふうに書いている。 「  夢幻さが流れるからだ抱かれたい  林やは  以前、川柳界に俳句の柴田千晶のよう...
2025年1月31日金曜日

山中千瀬歌集『死なない猫を継ぐ』

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山中千瀬の歌集『死なない猫を継ぐ』(典々堂)が発行された。 私は『さよならうどん博士』のころから山中のファンで、「川柳スパイラル」18号のゲスト作品に川柳10句を寄稿してもらったこともあり、今度の歌集を楽しみにしていた。 巻頭に次の歌が置かれている。 宇宙服を脱がないでここは夜...
2025年1月26日日曜日

日日是好日

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1月×日 前回のこの欄で中勘助の「島守」のことを取り上げたが、勘助の初期の随筆に「夢の日記」(明治45年)がある。漱石の「夢十夜」や内田百閒の悪夢のような小説が連想されるが、それらとも少し違う中勘助の世界が感じられる。明恵上人の「夢記」も有名だが、中勘助の「夢の日記」はこんふうに...
2025年1月11日土曜日

これからの連句

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謹賀新年。今年もよろしくお願いします。 年頭の読み初めは『芭蕉文集』で、「野ざらし紀行」「笈の小文」「おくのほそ道」などを再読。芭蕉の転機となったのは、深川への隠棲である。 柴の戸に茶を木の葉掻く嵐かな  芭蕉 詫びて澄め月侘斎が奈良茶歌 芭蕉野分して盥に雨を聞く夜かな 昨年...
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自己紹介

如月和泉
本名・小池正博。川柳人・連句人。句集にセレクション柳人『小池正博集』『水牛の余波』(邑書林)評論集に『蕩尽の文芸―川柳と連句』(まろうど社)がある。
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