2026年1月23日金曜日

宮井いずみ句集『理数系のティーポット』

1月12日、「文鳥散歩会」主催で宮井いずみ句集『理数系のティーポット』(青磁社)を読む会が大阪・梅田で開催された。司会・まつりぺきん。最初に八上桐子の挨拶があった。「川柳スパイラル」25号に八上桐子は『理数系のティーポット』の句集評を書いている。八上は①リズム感②固有名詞の多さ③取り合わせ、三つの切り口を設定している。それぞれ次のような例句が挙げられている。

 熱帯夜熱帯夜ボレロボレロボレロ
 抱きつきモンキーシャッフェンベルク式
 幽霊の足かもボーカロイドかも

「伝統川柳を入口に、現代川柳は私性川柳から革新川柳まで多彩な場で活動してしてきただけあり、書き方のバリエーションも豊富で、句風も広い」と八上は書いている。また読書会で八上は、句集の各章の独立性に触れ、多声的で断片的な世界を表現していると指摘した。
この会では参加者に事前のアンケートをとっていて、前半は「わたしの感想」、後半は「作者への質問」というかたちで進行した。司会のぺきんはアンケートにもとづいて、参加者それぞれに句集の感想を聞いていった。細かいメモはとっていないが、特徴的な名詞の使用について、「ことばの博物館」とか、食物関係の語がよく出てくるとか、名詞から句を作っていくのではないか、選ぶワードに世代感があるが句になると違う効果がある、などの感想が述べられた。
最後まで読み通せない句集もあるが、この句集は停滞なく読めたという感想もあり、全体のテーマとか強い主張がなく、根底に流れるものを垣間見るような句もほしいという意見もあった。各章が独立していて、句の配列も作句年代順ではなくて、再構成されているようだ。章のタイトルも、その章を統一するようものではなく、またその章の中の一句から取られたものでもない。収録句とは無関係な言葉をタイトルにしているが、このタイトルがけっこうおもしろい。
私がいいと思った句を一句挙げると、次の句になる。

うっかりの連鎖いもうとまで消える

作者自身が挙げた「宇宙の門ひらく葉月のピラミッド」も、あとで読み返してみておもしろいと思った。「心象句はあまり出したくない」という宮井の発言も印象に残った。句集の装幀についても話題になって、表紙絵は鯨のように見えるが、帯を外すと足があって歩いている。装幀は濱崎実幸。

第30回杉野十佐一賞が発表された。杉野十佐一は昭和26年に「おかじょうき川柳社」を設立。川上三太郎と親交が深かったことでも知られる。杉野草兵は彼の長男。
今回の題は「相」。大賞作品は

とんかつソースこぼれたみたいな寝相やな  木下香苗

入選作品から、五句挙げておく。詳しいことは「おかじょうき川柳社」のページから読める。

マチュピチュになんて相応しいくちびる  八上桐子
相談というより玉蜀黍のひげ       宮井いずみ
相談をすれば卵が孵るかも        笠嶋恵美子
色相環 黄色にすわる人の負け      桜庭紀子
もう鶴の相談は聞かないだろう      nes

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